■2006.06.15

 第10回『梅支度(うめじたく)』〜梅干し編〜


 ある人のホームページに、梅仕事、豆仕事という言葉が書かれていた。いい言葉だなあと心に残った。ついこの間まで、日本人はみなそうやって、旬の野菜や果物を自分の手で加工し、保存して栄養を補ってきた。そうしながら、季節を感じ、日々の節目を刻んできたのだと思ったら、形だけでも真似たくなった。季節を、人から与えられた情報で知るのは、なんだか惜しいと感じる年齢になりつつある。

“仕事”というほど私はていねいにやっていないのだが、6月になると、梅の準備だけは少しばかり忙しくなる。だから私の場合は梅支度。そんな言葉があるかどうか、わからないのだが。

何か足りなければ、コンビニで事足りる時代に生きているので、こういう手間が少しかかる季節の保存食づくりは、むしろ楽しい。ふだん手抜きもいいところなのに、ちょっとがんばっただけで、手っ取り早く“日本のお母さん”らしい気持ちにさせてくれるのも嬉しい。

梅干しを漬けようと思ったのは、一昨年、『天然生活』の取材で阿蘇のふもとの野中さんというお宅をたずねたのがきっかけである。古民家に親子3人暮らしていて、裏民宿と銘打ち、泊まると奥さんが自然食を作ってくれる。そこで出された梅干しがあんまりおいしいので、漬け方をたずねるととてもシンプルで簡単だった。塩とお日様が作ってくれるというのだ。

ならば私も、と早速トライしたが、昨年は干しすぎて失敗した。今年こそは成功したいが、自信がないので、南高梅は去年と同じ1キロだけ。

梅を漬けると、『塩梅』という言葉の意味が身にしみてわかる。去年は、塩梅を見誤り、半日欲しすぎたために、カラカラになってしまった。(本来は塩梅は塩の加減のことを指す)
人も梅もいい塩梅が本当に大事。やりすぎても、足りなくてもいけない。

私の梅支度は、梅ジュースと梅酒と梅干しを漬けておしまいである。まったくどれも簡単で、仕上がりは驚くほど美味。
自分で作ると、去年の味はこうだった、昨年はこうだったと鮮明に記憶しているからおもしろい。ふだん、これほど鮮明に自分の口にするものを覚えていないだけに興味深いものだ。
(野中ファミリー) http://www2.ocn.ne.jp/~karube/

梅干しの漬けかた
 

1,南高梅1キロを、黄熟するまで室温で放置。へたをとり、水でよく洗い、ざるにあげる。


      2,焼酎少々をくぐらせたあと、容器に13%の塩と交互に漬ける。
重しをのせると2日ほどで、写真のように梅酢が出る。
    


3,塩が完全に溶け、梅酢だけに。
瓶などの容器に移し替え、重しをやや軽くして、
1ヶ月ほど漬け混む。


4,土用の晴天の日が来たら、汁気をきってざるにあげ、三日三晩、外で干す。


5,いい具合に塩がふいてくる。シソを使わない白干しの完成。

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