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しくじりと恩送り


昨夜23時、酔っ払って駐輪場で財布を落とす。 夕方お金をおろしたばかり。 警察やらカード停止やら、あれこれして、落ち込みまくりながら寝た。 財布を落とすってこんなに気落ちするんだなあ……。朝の気の重さったらなかった。 と、今日、若い女性が二人 家まで届けに来てくれた。 仕事の昼休みを使って「失礼ですが中身を見て、住所が警察より近かったので」と。 どんなに聞いても名前も連絡先もおっしゃらない。御礼金も。休憩時間まで削って、わざわざ。 家にある一番いい赤ワインを押し付け、何度も礼を言った。 まとまったお金も入っていたし、絶対に戻ってこないと思っていた。 私はすごい国に住んでいる。 恩送り、次は私の番だと 彼女たちから学んだ。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

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