しんどい商売
ひゅんひゅんと音をたてて過ぎていく毎日。3月と12月はせわしなくて苦手だ。 芥川賞の『共喰い』と『道化師の蝶』読。前者はぐいぐい引き込まれ、濃厚で巧みな情景や人物の描写に打たれるが、生理的に受け付けられない話だった。後者はほとんどの選者が評で述べているが、文章の構造がいりくみすぎて読みづらい。 しかし、選評を見るとどなたも辛辣で、小説家とは世の中で一番辛い仕事ではないかと思った。魂を削るようにして書いたのにあんなふうに歯に衣着せず批評されるし、罵倒されるし、見ず知らずの私みたいな一介の読者にさえ「生理的に無理」なんて書かれてしまうのだもの。そういうことに負けず、自分にも負けず、独自の世界を紡ぎ続ける作家を尊敬せずにはいられない。どんなに失礼な会見をしたとしても、やっぱり心から尊敬する。