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よみがえりのレシピ

  • 執筆者の写真: kazue oodaira
    kazue oodaira
  • 2012年8月8日
  • 読了時間: 1分

長編ドキュメンタリー「よみがえりのレシピ」の試写を観る。 高度経済成長の流れの中で、ひとつまたひとつと消えつつあった山形の在来作物を、天才料理人「アル・ケチァーノ」の奧田政行さんが現代風に蘇らせる。 都会のシェフがこじゃれた料理を再現して、わあよかったね、昔の食材って凄いねといような予定調和な内容ではない。山形生まれ、『人と人をつなぐ料理』(新潮社)の著者でもある奥田さんの編み出す料理が、むちゃくちゃにおいしそうだ。「もうやめようか。いや、うちがやめたらこの作物が消えるから、もうちょっとだけ作ろう」と、ぎりぎりのところでなんとかふんばって泥だらけになって在来作物を作り続けてきた農家の人々が、奧田さんの料理を一口食べて顔色を変える。そのライブ感がいい。 これは山形の話だが、日本中に、採算や効率だけを追い求めて消えていく在来作物が無数にあるという。そういうことを、かなしいねと嘆くのではなく、希望を見せてくれる。また、仕掛け人の山形大学農学部の江頭准教授の言葉が、文学のような深い味わいがあり、心に響く。

 
 

2025 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

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