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コドモの終わり


 大学の体育会サッカー部前期戦終了。秋から留学する息子は5歳から続けたサッカーのおそらくこれが最後の公式戦。長年低迷していた部が、今期は健闘し、上のリーグに上がれるかもしれないというので、大学だというのに地方からも親御さんが駆けつける盛り上がりを見せた。  私も入学式以来3年ぶりにキャンバスへ。高校時代は怪我で1ヶ月入院、半年リハビリしたり、なんだかんだととにかく每日よく洗濯したもんだと感慨深い。いったい何千回、ビブスを洗っては干してきたんだろう。  途中キャプテンマークを外し、秋からキャプテンを務める仲間に渡してピッチから出る姿を観た時は、こみあげるものがあった。まさか大学生にもなる息子の試合を見に来るとはな。でも来てよかった。5歳からボールを追い続けた姿が重なり、ああこれが奴のコドモの最後の姿だと思った。  ピッチを出たらもう私のあずかり知らぬところを生きていく。    お疲れ、と最後に声をかけたら、ヘディングのしすぎか後頭部が薄くなっている。 「あ、あんた! 禿げとるがな」。 ねぎらいを言うはずが・・・。あとは、おっさんまっしぐらか。 「そんなことねーよ」 と返されたが、帰宅後、後輩からもらった色紙に 「先輩、イギリスには養毛剤を持っていってください」と書かれていた。 指摘されとるがな。 (写真) VS北里戦 5−0で勝利。大学4部リーグ 前期全勝で後期にのぞむICUサッカー部の面々。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

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