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トライアルへたれ男

このままでは病になりかねないと、1トンほどの重い腰を上げて、家人とジムへ体験見学に。 混み合ったトレーニングルームで、スタッフの爽やか青年が懇切丁寧にレクチャーしてくれるも、夫は30分あまりで 「俺、もうええわ」。 私「はああ?あんた、この体験、ひとり3千円なんだよ。もっとやらなきゃ、元取れないじゃん(やや意味不明)」 私はストレッチルームやら、スタジオや、食べ放題のビュッフェに群がるおばさんのように、あれこれ1人で試す。 するとさっきの青年が飛んできて、捨てられた子犬のような目で 「旦那さん、出られちゃいましたけど……、なにかお気に召さなかったでしょうか」 私「ごめんね、ものぐさなので。気にしないでね」 階下に降りていくと、もう着替えてやがる。 レジで、声高らかに入会しませんと宣言し、計6480円を支払い。(入会したら、会費として相殺されるあるあるシステム) 帰り道。 夫「俺、なんかあそこで黙々と体鍛えてる人たちが、スカしてて嫌やねん」 さすが、スタバでマック広げている人を毛嫌いするお人らしい理由。 でも、ジムってそーゆーとこです。あなたも中に入れば、そうみられる1人。 私「私は腰が楽になったし、やっぱ入ろうかなあ」 夫「お前は入れ。俺を絶対誘うな。あんな高い金払って運動するなんて、あーバカバカしい」 だーかーらー。ジムってそーゆーもの。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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