フランク・ザッパ
k2 シネマ でフランク・ザッパのドキュメンタリー『ZAPPA』を観た。 音楽に明るくないが 22年前、下北沢に越してきたとき 毎晩のように読んでいる音楽ブログがあった。どうやら書き手はご近所らしかった。 ただひたすらザッパについて書かれていて こんなに好きなものについてのめり込むことができる人生は幸せだなと眩しかった。 でもいつも最後に「ああ、金が尽きた」とか「今日は1000円分しか飲めない」と書かれていた。 その人が著したザッパの本が書店に並んだ時、彼はもうこの街にいなかった。引越し代のため、印税を前借りしたと書いていた。こんな時代にと、驚いた。以降クレジットを見ないから、あれが最後の仕事だったのかもしれない。 ・・・ 80年代、アメリカ上院議員アル・ゴアの妻が、ロックミュージシャンの性や暴力、ドラッグにまつる過激な歌詞に対し、検閲委員会(PMRC)を設立した。 ザッパはひとり、表現の自由を守るためこれに反対し、髪を切り、スーツを着てアメリカ議会で戦った。 ディランもプリンスもスプリングスティーンもマイケル・ジャクソンも沈黙するなか、ひとりで。何年も。(その後、ジョン・デンバーらが賛同) やがて歌詞の検閲運動は衰退した。それらをこの作品で初めて知った。 ・・・ 映画は、プラハで始まる。ロシア軍撤退を祝う式典に招かれたライブで生前最後の演奏だ。 プラハの人々は熱狂していた。 ・・・ 投票の帰りにこの作品を見たことは意味があると思っている。22年前、貪るように知らない誰かののブログを読んでいたあの日々も。彼がのめり込んだ理由の一端が理解できたから。 今見てほしい作品である。