ペコロスの母に会いに行く
下高井戸シネマで『ペコロスの母に会いに行く』を観る。今年度キネ旬1位。 バツイチ、はげちゃびんの息子と認知症の母の実話を元にした物語。最初から大笑いして、気づいたら満席の観客みんなで最後に号泣していた。大資金も大宣伝もまったくかかっていないインディーズみたいな映画。でもスタッフも役者も超一流。私なら、真木よう子さんでなく、赤木春恵さんに主演女優賞を、原田喜和子さんに助演女優賞をさしあげるがなあ。って、あそこにいた観客全員が思っていただろうな。こんなすごい映画を迷いなく1位に選ぶなんて、すごいぞ、キネ旬。 老若男女をこんなに笑わせて、泣かせて、まるで現代の寅さんじゃん!と思ったら、監督は『男はつらいよ』シリーズの初期の助監督と脚本を手がけた森崎東さん。傑作と言われる3作目『男はつらいよ フーテンの寅』の監督を務めた人だった。長崎の原爆も、介護の苦しみも、あんなふうに、変化球でさらっと描いたら、さらっとしているだけよけいにその哀しみが深くなるという人の心理をわかっている。やっぱり、寅さんってすごかったんだなあと、あらためて寅さんが映画界に残した遺産と遺伝子の凄さを再確認する。森崎さん、87歳。次の作品も絶対待ってます、私。
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