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九州文章講座のミニ旅

北九州、長崎と文章講座に呼んでいただき、お話をする。喋ることも教えることも本業ではないが、それでもと言ってくださる方のところに行くと、みな「ひとこともききもらすまい」という姿勢で向き合ってくださるので、私のほうがむしろ得ることが多い。 インタビューでボイスレコーダを回すかとか、時間のやりくりとか、テーマの設定とか、北九州は同業者が中心だったので、質問もかなり具体的だった。団体を作れるくらい北九州市にはライターの仕事があるということで、やはり産業都市なんだなと思う。九州でもライターの団体がある街はめずらしいのだという。 長崎はケアマネージャーの方の集まりだった。介護事業の計画やプランを立てる仕事は、じつは書き仕事が多く、1日の半分はパソコンだとか。 「でも、そんなことに関係なく教養を深めたいから、ふだんの仕事のことを話してください」とのこと。 帰りに男性が自著を2冊も買ってくれたので、思わず「大丈夫ですか? 梅を漬けるとか、男子にはきつい内容っすよ」と言った。「いいんです。おもしろかったです」と微笑まれ、かたじけないという気持ちになった。 本業でないことは疲れる。でもそれ以上に、自分の原点を見つめ返すような作業をさせてもらえて刺激をもらえる。ほんのたまの、こういう経験は、長い人生の潤滑油になっている。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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