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再びの悪夢に。

スキーバス事故。30年前、犀川スキーバス転落事故で、私は同じ大学の仲間と教授25名を失った。暮らしていた学生寮からも何人も死者が出た。バスは川にダイブし、厳寒の犀川から救助された後輩が、寮で洗濯機の水流を見たとたん震えだし卒倒しそうになったのを覚えている。事故から何ヶ月か経ったときのことで、それほど長い時間が経っても、恐怖のトラウマは消えないのだと知った。 魔のS字カーブ、深夜の雪道にもかかわらず普通タイヤにチェーンだけの軽装備、そしてバス運転手の過密労働が原因だった。 今回の報道で、格安のツアー料金を見て直感的に思った。再び、劣悪な労働環境と経済競争の論理が生み出した闇が、未来ある若い命を奪ったのではないかと。 今回の事故で、息子の高校のサッカー部の先輩が天に召されたことを知った。青学高等部から退路を断ち、早稲田に進んだ気骨ある青年だった。 あの日も今日のように寒い日だった。犀川の水はどれだけ冷たかったことだろう。軽井沢の暗闇の雪道に投げ出された若者たちはどれほど恐くて痛くて寒かったことだろう。 学生だった私は母になり、事故で我が子を失った親御さんの気持を思って苦しくなるほどの年齢になっているのに、経済の論理は何も変わっていない。人の命を預かる職の人間が、「客が少ないから最低賃金よりもっと安く」などと絶対に業者に命じてはいけない。安ければなんでもいい、末端労働者が泣けばいいという論理はノーモアだ。

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