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半径1キロの旅





あ、かずえさん、こんばんは」と、

いつもの顔がカウンターに並んでいる。

けれど互いに名字も肩書も住んでいる場所も知らない。だから下の名も、漢字じゃなくひらがなのやわらかな響きで耳に届く。

・・・

 知らない者どうし。だから弱音は吐くけど、共通の悪口や噂話はない。心ゆるむ、夕方のバーという旅のお話を。

『ある日、アジフライを食べに逗子へ〜おとなのこたび』(幻冬舎PLUS )

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