top of page

堀道広さんマジック


新刊『昭和式もめない会話帖 (中公文庫)』のイラストは、堀道広さんです。当初から、編集者の石川由美子さん(中央公論新社)から、「絶対この方がいいと思いますっ」という熱い思いがビンビン伝わってきていた。 もちろん私もお願いしたいと思ったし、だいたいそういう編集者の思いが溢れんばかりのときは、それにのるのが最善で、いい結果になると、これまでの経験でわかっている。 果たして、堀さんは、小津安二郎や成瀬巳喜男、黒澤明の映画のフレーズを、それはもう見事に自分流に解釈して、シュールにイラスト化してくださった。上がってくるラフがこんなに楽しみだったのも久しぶりだ。 本書は『昭和ことば辞典』(ポプラ社 2013年)を加筆して文庫化したものだが イラストを通して、本が生き返った思いだった。 言葉は、ときに、時代に応じて解釈を変え、死んだり、生き延びたりする。 堀さんの解釈で、 「いい女ですね。食欲が湧く」 「吹くわね、坊やのくせに」 などというセリフが、いきいきと、息を吹き返すのをまのあたりにして リインカネーションという言葉を思い出していた。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

00:00 / 05:15
Gradient_edited_edited.jpg

© 2024  暮らしの柄 大平一枝  Kazue Oodaira , Design Izumi Saito [rhyme inc.] All rights reserved.  

bottom of page