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意地の育児

大学の春休みを長野の祖父母宅で過ごしている娘が 久々に帰宅。 長野で、出掛けに古着のワンピースの裾がデロンとほどけているのを祖母に見つけられ 「そんなものを履いて、電車に乗ったら街中の笑いものになる」と 激しく叱責されたそうな。 で、時間がないので、逃げるようにして東京に帰ってきたと言う。 長野に戻る前夜。私は針と糸を持って、鬼のような形相でかまえる。 私「どれっ、貸してみっ!」 娘「いーよ。そのうち自分でやるから」 私「あんたをこのまま返したら、ばあちゃんに私が手抜きをしてるってなじられるんだよっ、どこよ、ほどけてるの!!!」 娘「も〜〜〜〜っ、おばあちゃんとママの意地の張り合いに、私を巻き込むの、やーめーてーーーーーっ」 意地の張り合い。・・・たしかに。私はこんな歳になってもまだ母に叱られたくないんだなー。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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