料理本3選
自著を3冊装丁してくださったデザイナー斎藤いづみさんから、主婦と生活社 【私の好きな料理本リレー】#料理本リレー のバトンを受け取る。
時を経た良書に、光が当たる機会は貴重だ。
1.宇野千代著『私の長生き料理』(集英社文庫)
料理に添えられた随筆が素晴らしい。
エッセイとは、「わたしはなにものか」を明確に定めてから書くものなのだと
本書から教わった。
宇野さんは「私は恥ずかしいほどの食いしん坊である」という
立ち位置から書いている。だから寄り添いやすい。ひきこまれる。
わかめの天ぷらなど、火傷しながら何度も作った。
2.向田和子監修
『向田邦子の手料理』(講談社)
人にさしあげ、何度買い足したことか。
「さつまいもと栗のレモン煮」の写真が忘れられない。
それまでごちそう本しか買ったことがなかった。
なんでもない惣菜が輝いて見える、私にとっては大人の料理本。
向田邦子さんのこぼれ話もいい。
料理が大好きな柴咲コウさんへもお誕生日にさしあげた。古本なのに(絶版なので)とても喜んでくださったのが忘れられない。女優さんに古本て…。
3.〈手前味噌枠〉 自著
『信州おばあちゃんのおいしいお茶うけ』(誠文堂新光社)
1年かけて信州を取材しながら、お茶うけと作り手の物語を取材した。レシピは110本。
信州では、漬物や干し野菜、果物の保存食は
人と人との心をつなぐ、大事なコミュニケーションツールなのだと気づいた。
斎藤いづみさんの装丁、安部まゆみさんの写真の鮮やかなあたたかさが通底した、想い出深い1冊。
東京だけでぐるぐるするのはもったいないので
尊敬する人生のパイセン、長野いや日本の宝、料理家・横山タカ子さん @takako_sasisu にバトンを渡します。