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日々是好日

毎日違う場所に取材に行く。今日は近いし、楽勝だわーと思ってバスに乗ったら、終点の駅に着いていた。なんでだろ。乗り過ごすにも程がある。 役者やタレントさんでもない限り、初対面の人間に心の内を語るというのは、誰だって簡単なことではないと思うが、一生懸命そうしようとしてくださる相手に毎回頭が下がる。 そして、次の取材場所へ。今度は10年前に書いた記事を覚えてくださっていて泣きそうになった。それを読んで漬けたという梅干しまでわけていただいた。横でだんなさんが「ああ、その梅干しはこの方の記事だったの」と。いっぱいいっぱいお土産を持たされて、ほんわかした幸せで満杯になった心のボールをぽんぽんしながら帰途につく。そういう生活が今年で20年。ボーナスも有給もないし、こんな素敵な取材相手ばかりではなくて、ブチ切れたり、落ち込んだりすることもままあるのだけれど、まあこれでいいんだよなと思う春。

【写真】 今日おたずねした1軒目。テラスから風が通り抜ける気持ちのいい部屋であった。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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