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梅木好彦さん・久代さん夫妻の恐るべきパワー


見えなくても、きこえなくても。―光と音をもたない妻と育んだ絆』で取材をした京都の梅木好彦さん、久代さんがNHK手話サークルの用事で上京。新宿でパンケーキを食べた。 前回はNHK教育「ブレイクスルー」の収録で上京され、10月にお会いしたばかり。久代さんは目・耳・言葉が不自由な全盲聾者、しかももうすぐ還暦なのに、そのフットワークの軽さといったらない。10時間かけて夜行バスで来たというが(京都駅から自宅までも2時間以上かかる)、1時間のすきまがあれば東京の知り合いと約束を入れて落ち合う。聞こえないし見えないのだが、社会から遮断されているどころか、ものすごい勢いで毎日いろんな人たちと、コミットしている(コミットは責任を伴う言葉でちょっとニュアンス変わるけど)。 点字と音声変換によるメールができるので、人生の深い話もできる。夫の好彦さんと久代さんと私の3人でいると、触手話ができない私だけが不自由だ。何が自由で何が不自由か、という話である。 二人に会うと、元気をもらうを通り越して、その元気にやられてこちらがちょっとのびてしまうほど。 大きなパンケーキを食べたあと、「次の約束まで時間があるから、もっとなにか食べよう」という久代さんを必死で止めた。私が知る50代で一、二を争う元気な人。別れ際、「次、用事で4月に上京するので宜しく」とのことであった。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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