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12年ぶりのリターン


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中学の同窓会のため、12ぶりに長野県駒ヶ根市に帰郷。アルプスに囲まれたうつくしい山里で、 中学の頃は「山しかない」と不満に思っていたが、今はこんな宝に囲まれて私は多感なあの時期を過ごしたのかと誇らしい気持ちになる。 父の転勤が多く、その町にいたのは5年。いまだに声をかけてくれるのはこの学校の友だけだ。 地元のスーパーに寄り、差し入れ用のお酒と自分の土産用に地元のワインを買う。お金を払おうとすると、友が 「おまえは交通費がかかっとる。そんな金はもらえん」と受け取らない。 宴のあとも宿で夜中3時ごろまでおしゃべり。もうこの町に実家はないけれど、故郷はどこかと聞かれたら、青い空に映える白い山の稜線と、友のいるこの町が浮かぶ。 翌日新宿に戻ると喉が痛い。中国のPM2.5がここまで来たかと思ったが 酒と騒ぎすぎのせいだと、あとから送られてきた二次会の動画を見て気づいた。 (写真) 母校がおそろしいほど変わっておらず拍子が脱けた。 日本一うまいと信じているソースカツ。大人になるまでカツ丼はみな甘辛いソースをくぐらせたもので、卵でとじるのは特別な東京風なのだと信じていた。駒ヶ根のカツはどこもこれで夢のように美味しい。

2025 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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