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ならい症

 近所のコンビニのレジで、あまりに中国人の店員さんの日本語が美しいので 「本当にきれいな日本語がお上手。どのくらい勉強されたの?」と話しかけたら 横で娘に 「唐突に話しかけるのやめなよ。ママ、最近そういうの多いよ。おばはんの特徴だよ」 とたしなめられた。  なんでなのさ、褒められて嫌な気のする人はいないんだからいいんだよとつっぱねた。  そういえば、信号待ちの着物姿の老婦人に「紬ですか」と話しかけそうになった。  それからかき氷やで、隣の若い女性二人が恋バナをしていて 「同僚の男子が都合のいいときだけ泊まりに来てすごくいや」 と話しているので 「その男だけはやめときな、遊び人だよダメンズだよ」と喉まで出かけたのだった。 この年になると、いろんなことがおかん目線で、怖いものなしになる。恐ろしい老化現象の一種だ。

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(写真) 恋バナ現場。整理券をもらって食べるしもきた茶苑大山 微糖抹茶。ソースがムース状。 川越取材で見かけたコエドビール。同行のデザイナーさんによると、「周囲でコエドビールのデザインが話題」とのこと。なるほどたしかにかっこいい!王冠もアンティーク風で細部まで凝っているのだ。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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