top of page

ハッカー

身に覚えのない、メールがAmazonから届いた。 アマゾンプライムに入会した旨が記されている。 プライムはとても便利なのはわかるが、もうこれ以上、日本中の配達業者を急かしたくない。 そんなに急いでどうしても欲しいものなんて、ない。 再生ゴミとは言え、ダンボールのゴミも、もう増やしたくない。 意志の弱い自営業なので、映画見放題は遊んでしまって困る。 かような理由から、ぜったいに入会しないようにと、ここまで歯を食いしばって我慢してきたのに。 一体誰が。 家族のグループラインで、だれか登録したのかと尋ねたが、「ノー」。 私「じゃあ、ハッカーかも」。 娘「わろたわっ。ママのパスワード盗んで、プライムの会員になって、そのハッカー、なんの得があるの」 私「クレジットカードの番号盗むんだわさ」 最近ツイッターを乗っ取られたことがある私は、1日生きた心地がせず Amazonのメアドとパスワードを替え 念のためクレジットカードも紛失届を申し出た。 このクレカで光熱費のすべてをまかない、半月後には海外取材を控えているので、再発行もまさに綱渡り。 もう本当にいろいろと、しちめんどうくさいいことになって落ち込んでいた夜、息子と娘が言う。 「とりあえず、Amazonにも、問い合わせてみ」 A「お客様、AmazonでCDを買われたとき同時に入会されております。 おそらくお客様ご自身の手で、入会されたかと・・・」 「いえ、そんなはずでは」「・・・はっ!!!」 そういえば昨夜3軒目に入ったバーで、1杯だけのんで、LENARD COHENのボックスCDを、バーテンダーが絶賛するのを聴いて、 知りもしないのに、しゃしゃってポチったっけ。 その後4軒目に行ったので、3軒目の記憶をまるごと忘れていた・・・。 「間違えて入会されてしまうお客様よくいらっしゃいますので」と、アマゾンさんは丁寧に応対してくださった。 いよいよか、と家族全員が、遠い目をしている。 そんなわけで、この機にと子どもたちに懇願され、入りたくもないプライムに入会したまま、「物忘れ外来」のある病院に行く日を ママ友と相談している次第なのである。

(事件現場)

(しゃしゃって聴いたニーナ・シモン。なぜこんなにも、シングルモルトは古い音楽と合うんだろうか──)

bottom of page