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巣立ち。

息子、小学生の頃からの夢だった職場に内定いただく。 今時の就活は、4次試験だろうが5次だろうが、その日の夜にはメールが来るのだな。 最終面接の前の日は、小学校からの卒業文集を読み返していたらしい。小中高とずっとその夢のことを書いていた。 それを聞き、「この文集全部持ってって、面接官に見せな!!!受かるかもしれないよっ」と 面接の朝に、騒ぎ立てたら 心底うざそうに 「そういう小手先のアドバイス、マジいらねーから」。 夜、内定の報をきき、すでに大酒を食らっていた私は、おいおい泣きながら、気づいたらお腹を出したまま大の字で寝ていた。 私の知らない国に住むことも避けられない仕事で ああ、遠くに行ってしまうのだなあ、 今日が本当の巣立ちなのだなあと思う。 カウントでは6日間で就活は終わったが 振り返ると、付属の大学に進まぬことを選んだ6年前から 彼の就活は始まっていた気がする。短いようで長い。長いようで短い、この子育ての日々。

内定決定の夜、編集女子と谷中の絶品割烹料理で痛飲。この最強に狭い路地の向こうに、秘密の店に続く階段が。 息子はひとり、【千鳥】のDVDを見ながら、内定の電話を待ったとのこと。母、べろんべろんで帰宅、号泣後、リビングで大の字。

2025 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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