想像せよ
アメリカに渡り、原爆投下に反対した原爆開発学者やその関係者に取材した。その旅で、痛烈に感じたことがある。
原爆の証言者も、また開発学者も少なくなる中、私達が戦争について考えるとき、もはや”想像力”を軸にするしかない、そんな心もとないものを拠り所にするしかない新しい時代に差し掛かっているのだわかり、呆然ともした。
スカイツリーより低いところで落とされた核爆弾が、どれほどの熱地獄であったか。放射能がどれほど近いところで人間の細胞を直接破壊したか。
数字や写真だけでは伝わらない。想像しようとしなければ、なにもわからない。
謝罪しない科学者の心の入り口にさえもたどり着けず、おのれの想像力不足に地団駄を踏みながら帰国した私は今も、思考の途中にいる。
【拙著をご紹介頂きました】
「戦争・核の脅威 想像力巡らせて」(信濃毎日新聞)1月6日
「原爆使用反対 科学者らに光」(中国新聞)1月22日
「貴重な証言から運命の日までの懸命な抗議行動が明らかに」(クロワッサン・マガジンハウス)1月25日号