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或る家族

7~8年来、顔剃りで通っている床屋がある。おじちゃん、おばちゃん、息子さんの小さな家族経営のごくごく普通の、街の床屋さん。おばちゃんの顔剃り、とくに眉作りが上手で、美容院ならこれだけで2000円はとられるなといつも思う。娘も息子も幼い頃はそこで切ってもらっていた。 「ヘルタースケルター」のネットニュースを見ていて、今日、初めてそれが岡崎京子さんの実家で、眉作りの達人は京子さんのお母さんだったとわかった。80年代が生んだ天才は、とても慎ましやかで温かなご家族に囲まれて育ったのだとわかり、ひとり、じーんとした。これからも、淡々と通おう、京子さんのますますの回復を祈りながら。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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