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箱暮らし

引っ越したまま、出張やら何やらでまったく家のことができず、開かずの段ボール50箱以上ある中で暮らしている。暮らしていけるといけるということは、あの50箱はいらないということか。 「俺は12月26日まで一切片付けはできないから」ときっぱり夫が宣言しているので、私もきっぱり手をつけないことにした。窓にはカーテン代わりのシーツが洗濯ばさみでぶら下がっている。娘が「ママ、早くカーテン買ってくれないと、私、家の中で日焼けしちゃう」と訴えるも、「待て」と飼い犬を諭すように言うのみ。 なのに、娘中学ママ友の忘年会には駆けつけるというこの時間使いのアンバランスさ。初参加のママが、「この盛り上がりようはすごいっすね」と目を丸くしていた。もう何かのストレスをぶつけているとしか思えない。そんなおばさんたちの夜。

2025、1月 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024、8月 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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