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仏壇色

  • 執筆者の写真: kazue oodaira
    kazue oodaira
  • 2016年3月17日
  • 読了時間: 1分

いつもクラフト系の、よれよれのしょっぱい財布しか持っていないので、ちゃんとしたものを買おうと、仕事帰りに百貨店に寄った。 店員さんに10個ほど出してもらい、迷いに迷った挙げ句、最後はそばでかしづいている店員さんに悪くなってしまい、棚の上から数秒で見ただけの財布を「これ」と決めてしまう。 ふだん全く縁もゆかりもないあるブランドのもので、黒地に金色の模様が入ったゴージャス系だ。 私もそろそろこういうものを持って、きちんとした大人にならねばいかんだろうと決心して買ったのに、帰宅後娘に見せると。 「あ〜、そんな仏壇色の財布買うなんて、ママもいよいよ終わったね、長野のばあちゃんと同じ感覚だ。あ〜終わってる」。 一瞬買い替えに行こうかとも思ったが、しゃくなので、 仏壇色の財布を持つ女でけっこう、と思いながら、やっきになって中味にぱんぱんに小銭を詰め込んでやった。

 
 

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