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哀惜

金曜は気のいい店主のいるポルトガル料理で安くておいしい料理を楽しく食べ、土曜は家事をして、日曜は仕事をする。月曜が休みだとと体も休まるので、週休3日はいいなあ。カメラ教室第4回は、「実践編」。私はアジサイなどを上手に撮りたいのではなく、ただただ仕事で訪れている台所を人並みに撮れるようになりたいだけなので、自宅に来ていただき台所を撮る練習。(普通の生徒さんは野外が多いそう) 先生から「ふだんあなたが撮るようにやってみてください」と言われ、じーっと見られる。背中を冷や汗が流れた。そして、三脚の立て方から、のぞきかたから、ピントから、しぼりから、AFロックから、ホワイトバランスから、すべて手取り足取り3時間みっちり。習ったことを端から忘れていくこの忘却力よ。 素人が少しばかりカメラを習うと、いっぱしにいい三脚やレンズが欲しくなって困る。もっと勉強したいし、もっとヨドバシとか行って店員の兄ちゃんにいろいろ聞きたいのだが、目の前にやらなくてはいけない宿題がごろごろしていて、気持ちだけが空回り中。  四十を過ぎて何かを習うと、少しばかり心の隅が切なくなる。いろんなやらなくちゃいけないことがあって、そこに割ける時間か限られているし、限られたなかでどこまで上達するのかの限りもちょっと見えてしまって、たっぷり時間だけはあった若い頃になにもしなかった自分を悔やしく思うからだ。

2025 『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版) 発売

2024 『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社) 発売

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