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つかの間の魔法


「 あ の 洗 面 所 で 化 粧 す る と 、ち ょ っ と 美 人 に 見 えるから困るのよ」 十数年前、長野の母が電話口で言った。私達夫 婦 は 、コ ー ポ ラ テ ィ ブ ハ ウ ス と い う 自 由 設 計 の集 合 住 宅 を 東 京 に 建 て た ば か り 。共 働 き の た め 、母 は 孫 の 面 倒 を 見 に 、た び た び 上 京 し た 。何 度 世話になったかわからない我が家での宿泊後に、もらした感想が冒頭のつぶやきである。 〜「つかの間の魔法」

『INAX LIFE』 (INAX)2020 Springに、エッセイを寄稿。こちらでお読みいただけます。母は、我が家の洗面所の照明が暗く、性格な肌の具合が見えないことを上京の折に嘆いていました。今、その洗面所に長時間立ち、メイクに余念がないのは、かつて母に子守をしてもらった大学生の娘です。時を経て今ならわかる母の女心についてのお話です。

2024、5月新刊 『こんなふうに、暮らしと人を書いてきた』(平凡社) 

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