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ばあちゃんと孫

来月からイギリス留学する息子は、彼女を連れ長野の祖父母宅へ。 孫が初めて女の子を連れてくるとあって母は何日も前からあたふた、どう接したらいいかと、事前にやたらに電話がかかってきて、めんどくさいのなんのって。 「松本城は連れていかなならん」などというので「若者に任せて、いろいろ口出ししないでやって」と釘を刺すのに 翌日また電話で「松本城へ連れていかな」と同じことを言う。 そんなこんなで、息子らは3日間滞在。高速バスの停留所まで送ってもらい、乗り込んだらたまたま最後部座席だったそう。 ふりかえったら、さっきまでやいのやいの元気だった母が、父の横で号泣していて、その姿がどんどん小さくなっていったんだよ、と息子が教えてくれた。 わたしも長野を離れ、愛知の学生寮まで送ってもらった日。母は別れ際に大泣きしていたなあと想い出す。 いろんな愛情がバトンタッチされ、2016の夏が過ぎてゆく。

2024、5月新刊 『こんなふうに、暮らしと人を書いてきた』(平凡社) 

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