top of page

東京物語

昨秋、連れ合いを亡くした京都の義母が、義弟夫婦とともに上京。おっくうがる義母を、弟の嫁が率先して、ひっぱりだしてくれたのだった。2日目は、夫と義弟と義母で、はとバスツアーへ。 「国会議事堂の中も見れたで、海辺のテレビ局も行ったで」と、おもいのほか義母は嬉しそうだった。 78歳の母と息子二人。なんだか小津安二郎の『東京物語』みたいだなと羨ましく思った。嫁が、しみじみと「あんなふうに孝行が自然にできるなんて、お義母さん、息子たちを上手に育てましたよね」とつぶやいていた。あと、何回、私はお義母さんと会えるだろうか。

2024、5月新刊 『こんなふうに、暮らしと人を書いてきた』(平凡社) 

00:00 / 05:15
Gradient_edited_edited.jpg

© 2024  暮らしの柄 大平一枝  Kazue Oodaira , Design Izumi Saito [rhyme inc.] All rights reserved.  

bottom of page